菅直人元総理が次回の衆議院議員に出ない。かなりズレた総理だったが、政権交代という現実を国民に示し、政治を大きく動かした功績は大きい。そして松下玲子武蔵野市長が後継に手を上げた。来月の決起集会には菅元総理も出席するらしい。道筋の話を出来あげてからの引退宣言のようだ。
任期途中で別の選挙に出るのは、しばしば非難される。現職の県議会議員が市長選へ。国会議員が知事選へ‥。かつては現職大臣が市長選へ、なんてのもあった。
一概にこれらを否定するべきではないと私は思う。その土地にとっての人材は限られているし、本人の意思が重要だし、最終的には有権者が判断すれば良いことだ。
しかしやはり否定的に考えざるを得ない状況もある。例えば任期途中で別の選挙に出ることを決めているのに、それまでの繋ぎとして違う選挙に出る場合だ。翌年の市長選出馬を決意しているに関わらず、直近の市議会戦に出る。市長選は一年先だから本格的な活動はまだ先で良いし、それまでは市議としての給料が欲しいのだと多くの市民は考えるだろう。まあ、百歩譲って「市長選まで議会に目を光らせていたい」という言い訳を甘受しよう。
だが首長の国政転出は、そうはいかない。選挙そのものが任期と近似値ならまだ良いが、それが見えていない場合は大いに疑問だ。今回の武蔵野市長は即刻市長を辞任するのだろうか。辞任してもしなくても、やはり素直には賛成できない。
市長不在の市役所は、船長のいない巨大戦艦状態だ。単なる大勢の中の一人の議員がいないのとは訳が違う。正に市民そっちのけ、補選をやったらやったで、その混乱は議員補選の比ではない。
「そのために副市長がいるのだろう」という人がいる。しかし副市長や副知事は選挙を経たわけではない。市長が指名した存在だ。直接的民意は持ち合わせていない。定年間近、または定年を過ぎた市役所OBが副市長を務めているケースが多い。岸田総理がいない場合の麻生副総理とは性質が全く違う。
市長を辞任しての国政転出理由を、松下市長には是非とも熱く語って頂きたい。全国の首長はこれに注目すべきだろう。
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