生活を変える条例

 埼玉県の虐待禁止条例が揺れている。虐待はもちろん厳しく対処しなければいけない。子供に対する犯罪や虐待が多くなって、どうにかしなければならないと動いた議員らは素晴らしいと思う。
 しかしこの条例は子供を家に残してのゴミ出しや短時間の留守番、お使いや子供達だけの通学などを禁止している。引きこもりの子供がいたら、親は一日中家から出られず働きに出られない、そろばん塾の半数はやめてしまう‥等々反対意見がいっぱいだ。条項を「小学3年生以下」としたことがポイントかもしれない。車を停車して、三年生がコンビニで数分間待つことが出来ないか?秩父の山奥に住む少年が飼い犬を散歩させてはいけないのか?などとツッコミ所は満載だ。
 例えばニュージーランドでは13歳以下の留守番は禁止されている。体罰などはもってのほかで、それを見られたら他人から激しく非難されるばかりではなく、簡単に逮捕されるのが普通だ。欧米諸国では似たような法律も多いが、国情が違うのでこれらが日本に適正だとは限らない。
 都会と田舎の違いがあったとはいえ、自分の三年生の頃について思い出すと母親は専業主婦だったが、私が外で一緒ということはほとんどなかった。友達の誰もがそうだった。「母ちゃんとお手手繋いで歩いている所なんぞ見られたら、もう死ぬしかない」と考えていたからだ。三年生は十二分に自我が発達して自己的な美意識を持っている。
 問題は今までの家族の生活スタイルを大きく変えてしまうということだ。過剰な経費負担も生じてくるはずだ。そういった条例を進めていく場合は、強引に施行に突き進むではなく、多勢を納得させるくらいのサンプル数で住民ヒアリングを実施すべきだ。その結果であるならば、多くの市民は賛成に回る可能性がある。拙速はもちろん御法度、時間を惜しんではいけない。
 何だか社会派のSF漫画を見せられているような気になってくる。

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