景気が良いらしい、ニッポン

 日銀発表の全国企業短観によると、非製造業の業況判断指数は32年ぶりの高水準でバブル期に匹敵するという。本当か?
 三年連続で税収が史上最高だとか、随分と景気の良い数字を聞かされ続けているような気がする。全公立中学生に50万円を補助して海外修学旅行に行かせる港区をはじめ、いくつかの自治体(主に東京の限定区でしょうな)は、ふんだんに税収があるらしいが、どうも納得がいかない。
 バブル期は国民全員が浮かれていた。株を買わない者はアホ扱いされ、クリスマスの高級シティホテルは若いカップルで占拠されていた。私はバブル崩壊でもダメージは全く無かったが、良いことなんて一つもなかった。こういう人たちは世捨て人だったのだ。
 今はどうか。浮かれている人なんて、ほとんどいない。物価高や教育費や介護に追われ、ヒーヒー言っている人が多い。地方の産業は衰退していくばかりだ。新しいビジネスモデルが生まれても、大きく華開いた話は極めて少数だ。賃金は安い状態から脱することなく、多くの国民は〝バブル期に匹敵〟なんてツユほども思っていないだろう。
 データはもちろん重視すべき一つの指標だが、その取り方や本当に世の中を表す数値なのかを間違わずに判断しなければならない。選挙の情勢調査なんかが典型例で、質問設定でいかようにも変わってしまう。いささかのバイアスも許さない調査設計が必須なのだ。
 政治活動や選挙戦では、データを掲げて主張を繰り広げるのは王道だ。しかし冷静なデータ選択をしなければ訴えが効果を及ばさないばかりか、場合によっては自分の選挙が崩壊してしまう。
 データはおろそかにはできない。でも自分の感覚と政治センスを突き詰めて信じる勇気を持とう。

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