処理水放出の説明は適切か

 一度張り付いてしまったイメージを覆すのは難しい。その後イメージがプラスに転じるようなことが出てきても、すでに興味を失っているマスコミはもう報じないからだ。そもそも煽って記事が売れることだけが目的だから、マスコミに〝責任ある後始末〟といった概念は無い。SNSはさらにそれを加速させたようなものだ。
 風評被害という言葉がすっかり定着してしまったが、原発処理水の放出説明はわざわざ風評被害を拡大しているように思えてならない。淡々と科学的検証の結果として大丈夫だと説明すればいいだけなのに、余計な発言が嘲笑や揶揄を誘っている。「たとえ今後数十年の長期に渡っても、政府として責任を持って取り組む」
 誰も(そうか、責任を持ってくれるんだ)とは思わない。政権が変わるとそれはもう無かったこととしてしまう政治を国民は知っているからだ。小泉政権の時に首相が「年金は百年安心」と言っていたが、毎年確実に大幅値上がりしていく年金支払い額からして「いやあ、やっぱ百年は安心だよな国民年金」なんて考えるおめでたい人は皆無だ。
 国民が不安を感じるような事態に対して、政治家が言うべきは具体的説明であってPR的キャッチフレーズではない。煽り文句に踊らされる国民はたぶん一人もいない。
 どのような科学的検証から、どう安全と判断できるのか。今後の十数年どのような責任を持つのか、当然予想される風評被害に対してどのように対抗していくのか、具体的に説明するのが一番の方策だと思う。
 相手がどう感じるのか、どのような言い方が最も理解してもらえるのか、これを想像できるか否かがキーポイントだ。
 

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