SNSで簡単に誰もが自分の意見を表現できるようになった。それ自体はとても良い事だ、などと普通は言うだろうが、さっぱりそうは思えない。匿名性が高く無責任であるのに加え、さほどの考えも無しに非常に安易に言葉を発するように社会全体がなってしまった。言葉の暴力も酷い。
例えば自民党女性局がフランスに視察に出かけたと世論が湧き起こる。災害にあった人もいる中で、税金で三十人も雁首並べておフランス観光とは何事かと憤れば、無条件にそうだそうだと大勢が横並びする。まあ、旅行もどきと言えばそれに近いかもしれないが、まともな視察報告も見込み成果もまだ全く見えてこない。「そんなもん、出てくるわけないだろう」と言いたいのだろうが、罵詈雑言を浴びせるのは後でも良いではないか。要するに単なる批判のブームと流れに過ぎない。
感情的になりやすいものだけに批判が集まり、パッと火がつく。今回の大勢の海外視察や首相公邸での忘年会写真のケースなんか格好の餌食になる。そろそろ政治家の方も勉強した方がいい。ポイントは「税金、抜け駆けとお手盛り、豪華」の三点だ。才覚で稼いでいる芸能人やスポーツ選手、業界的な人たちの〝豪華〟は勿論問題にはならない。政治家だけの逆特権だ。それでも感度の低い政治家や候補者は、今後も落とし穴に簡単にハマるだろう。
本来有権者が怒らねばならないのは、ちょっとしたズルやユルフンではなく、大多数の国民生活にのしかかる直近の大きな障害、弊害を取り除かない政治だ。電気代節約で猛暑を乗り切らねばならない庶民の生活、半年で193億円とさっぱり減らない特殊詐欺被害対策、財政悪化につながる予備費拡大と不用額11兆円、そして何より功を奏しない物価高対策‥。
SNS社会になってマスコミの重要性はますます大きくなると思うのだが、聞こえてくるのは縮小に次ぐ縮小と倒産の話ばかりだ。そしてネットメディアに対抗しようとするあまり、逆にクォリティーを落としたりしている。
それもこれも自由過ぎるSNSのせいだが、せめて犯罪を構成すると思われる投稿については、身元開示をもっと簡単にできないものか。闇バイト募集や怪しげな薬が買えるサイト、名誉毀損や侮辱罪を構成するものなど、他の言論ステージでは考えられない内容が自由に闊歩している。
言われなき批判からの自殺者も減る様子は無い。そろそろ考えた方が良いのではないか。
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