這い上がれ、政治家

 政治や選挙では生き地獄を味わうこともある。
 生きているのが嫌になるくらい心が壊れてしまったら逃げろと先日書いたが、それは挽回が可能な時代だからだ。三十年ほど前は政治家の健康問題は秘匿された。いったん病気話が出回ると、立ち直れないほどのダメージを受けたからだ。しかし今は状況が違う。大病からの復活なんて当たり前だし、病気経験を売りとして引っ提げ、出てくる新人もいる。そもそも選挙力学的に、病気なんて大したことない。医療の発達で、簡単にもう人はやられないのだ。
 今は何でもアリの時代だ。例えば国政に落ちた人が県議選に出る。衆議院に出られなくなった人が小さな市の市長になる。全県で戦っていた参議院議員が町長になる。元市長が市議会議員になる。県議が市長選に敗れ、県議補選に出した自分の子分を押し除けてまた県議に復活する。逮捕されて刑務所から出てきた人が何年振りかで返り咲く。一昔前にはほぼあり得なかったことが普通に行われている。
 極め付けは公党をぶっ壊した党首が、新たに所属した政党の党首に立候補することだ。勝てないと見込んで民進党の解散を主導した前原党主が、この度国民民主党代表選に出馬する。小沢一郎氏だって新進党をぶっ壊してから党首の座についた?あれは出馬したのではなく、自ら立ち上げたのだからまったく違う。
 これらは否定的に捉えられるものではなく、私は素晴らしい時代の変化だと思う。各候補者の政治に対する執念、有権者の懐の広さ、多様性の賜物だろう。「政治〜権力にしがみつくバッジの魔力」なんて言う意見もあるだろうが、ゲスの勘繰りとしたい。
 復活歓迎、返り咲きオーケー。まして心がぶっ壊れた政治家の復活なんて、考えようによっては美談だし、その貴重な体験を是非とも有権者の暮らし向上と地域力アップ、国力アップに活かしてもらいたい。

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