楽しみか、万博

 初めての新幹線だった。いや、本州に行くのが初めてだった。一週間を超える本格的な家族大旅行は計画段階から心が踊った。アポロ11号が持ち帰ったアメリカ館の月の石が楽しみだったが、アメリカ館にはとても入れなかった。ディズニーランドどころではない。万博会場内のことは何一つ覚えていない。あまり楽しくなかったような気がするが、そんなのは問題じゃなかった。大好きだったカレーライスを三度三度食べた喜び、多種多様なお店と人間だらけの大都会。聞き分けのない子供を連れ回し、両親は大変だったろうと思う。もう半世紀以上前の話だ。
 そして人生二度目の大阪万博がやってくる。2025年開催の大阪万博は誤算だらけだ。準備が間に合わず、もう10施設ほどは造れないという。建設費高騰や人手不足がそれに拍車をかける。当初予算は足りず1、5倍に膨らんだ。それでもゼネコンは利益が少なく高リスクで、不満や敬遠が蔓延しているらしい。参加国の建設費が見積額の半額では、やってられないだろう。コロナ禍も大いに影響した。
 万博誘致は2014年に大阪維新の会の目玉政策として掲げられた。もう十年近く前の話だ。昔と違って今は三年先が読めない時代だ。万博のような何となくのノッペリした超大型イベントはもう無理だと思う。最終的なツケは自治体や国に必ずのしかかってくる。つまり税金だ。身を切る改革もクソもない。
 ロシアと誘致を争っていたが、もしロシアに決まっていたら、今頃どうなっていただろうか。そもそも今の子供たちはどれほどドキドキしてくれるだろうか。
 小さな子供たちに大いに楽しんでもらいたい。もうそれだけが望みだ。頼むから「暑いし家でゲームをやっていた方がいい」なんて言わないで下さい。

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