やめるな、四十九日

 「そういえばお前のお袋さんが亡くなって、そろそろ一年だろ。一周忌は地元でやるのか、それともこちらでやるのか?」
 私の経験談をたっぷり話し、一周忌の手順を教えてやろうとドヤ顔で友人にそう言ったら、ポツリと「もう終わった」なんと何もやってないと言うではないか。それどころか四十九日すらやっていないと堂々としている。
 超高齢だった田舎の寺の住職が不明、後継者はいなくて棚上げ。市役所に電話しても総本山に連絡しても埒があかず、寺は荒れ始めているとのこと。檀家はさぞ困り果てていることだろう。人不足、後継不足はこんな身近なとこまで来てしまったのか。
 我が家にも墓がなく、マンション形式の墓を購入した。私もここに入ることになる。しかしこの墓形式、数年前に経営母体が倒産してニュースになった所があったが、その後どうなったのだろう。是非ともうちの墓は繁盛してほしい。
 樹木葬の新聞広告が近頃やたら目につく。四名様まで納骨可で〝税込101万円より〟となっている。いつの間に、こんなに高くなったのか。需要あるものは、どんどん高くなっていく時代だ。同じ広告で永代供養料が〝税込53万円より〟とある。何故こちらの方が安いのかと不思議に思ったが、よく見たら1,5平米あたりの値段だった。バックにいる墓石業者は、ここに目の玉が飛び出る高額な墓を建てるに違いない。
 しかし都会の墓不足は、そのうち何とかなるはずだ。人口が減ってちょっと郊外の土地は徐々に空いていくのだから、目ざとい業者が一気に墓苑総合開発をする。
 一方全国に増えていくはずの廃寺処理は、法的準備をしても社会的にはもうギリギリではないだろうか。生活変化の先、その先をパッパッと整理していく政治であってほしい。人口減から出現する社会現象を想像するのは、そう難しくはない。特に自治体リーダーは今後、その辺りに目配りするトップか否かが問われると思う。
 「四十九日も一周忌もやってないから、タタリで最近の業績が良くないのかな」いやいや、親のタタリなんて言っている君のその発想が良くないのだよ。

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