特に大手マスコミは危険

 2022年の自殺者のうち、奨学金の返済を苦にして自殺した人が十人いたという。朝日新聞はこれを一面トップに掲げ、現在延滞している人への対応が必要と主張している。
 これに疑問を感じる人は、結構多いのではないか。十人って、一面トップに持ってくるほど多いのか?
 奨学金は年間150万人もの人が利用している。多くの人たちが奨学金によって助けられたはずだ。「奨学金返済苦自殺者の数字は氷山の一角」としているが、解雇雇い止め86人、SNSのトラブル33人の方がずっと氷山の一角に感じる。
 これは新聞社として〝主張の結論ありき〟仕事なのだろう。奨学金自殺者が30人だろうと5人だろうと、記事の有り様にさほどの変化は無かったと思う。要するに「昨今社会問題になっている奨学金返済について、制度の見直しを含めて警鐘をならす記事を入れよう」と最初から意図があり、とってつけたように新たな統計を持ち出してきたに過ぎない。奨学金返済理由以上に人数が多い解雇やSNSや性的な悩みに対して、論評はいささかも触れていない。対比分析が一切されていないのだ。
 自殺した人たちを悪く言うつもりは全く無いが「十人も自殺したのだから制度を変えろ」とは短絡過ぎるのではないか。事実多くの人たちはきちんと返済している。もっと返済しやすいように修正すべきだと私も思う。しかし奨学金そのものを悪のように取り扱う記事の有り様には、やはり賛同できない。記事中の「奨学金」というワードを「ヤミ金」に置き換えてみたが、全く違和感なく頭にスッと入ってくる。掲載位置、分量、内容、表現の全てが、笑ってしまうほどピッタリくる。
 選挙報道にも同じように、バイアスを感じさせる記事が少なくないので注意しよう。新聞、週刊誌などは与党寄りか野党寄りか、媒体によってはっきりしている。自分の立ち位置と反対側の媒体取材には、特に注意しなければならないのは言うまでもない。最大の留意点は、なるべく〝載せてもらいたい事のみしゃべる〟という事だ。サービスと思って話した余分なところを中心に載せられたら、たまったものではない。そういったケースは非常に多い。
 選挙前の取材は、短い時間を心がけよう。「話すのは人格、話さないのは品格、話し方は人間性」どこかの偉い人が言ったらしい。

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