解散総選挙への実態

 選挙が近いと多くの人は言う。本当だろうかと疑心暗鬼になるが、準備をしないわけにはいかない。いきなり解散されると、もう間に合わないなんて冗談じゃないぞ。
 事務所を借り、ウグイスや運転手と仮契約をした。選挙になるまでの体を縛るため、集会や街頭に彼らを使ってやらなければならない。人件費が一番金食い虫だ。
 いつも選挙前に、自民党本部が無料で印刷してくれるビラ代わりの自由民主号外版はどうした?無料なので限度部数いっぱい刷ったが、とっくに巻き終わってしまった。また増刷しなければならないが、増刷分は有料になってしまう。
 報道は選挙の話ばかりだ。毎日必ず党首脳の関連発言が画像でもネットでも出てくる。ここ数日は野党のトップまで煽り始めた。
 総理はサプライズ好きだという。それが本当かウソか知るよしもないが、解散は100パーセント無いとしかるべき誰かが言ってくれないと、とても怖くて一連の準備作業をストップする気にはなれない。
 本番用のポスターもビラも、すでにバッチリと仕上がっている。掲示板ポスターはユポ素材で耐光性インクだから、印刷に二週間かかる。ポスター班用に、これからタオルや地図を1セットにする作業をしなければならない。デリバリー時間も考慮すると、会期末解散にギリギリのタイミングだった。
 これでまた期間が伸びたら、場合によっては作り直さなければならない。特にビラは政治状況が違えば、当然に中身も変わってくる。二種類のビラで11万枚だ。ポスターと合わせて印刷費は国から出るけど、当たり前だが刷り直しなんて金は出てこない。
 怖いのは選挙ハガキだ。ウチはパソコンに住所が入っているので、ラベル出しして法定の3万5千枚を完成させた。選挙が伸びたとしてもこのまま使えるが、もしとんでもなく政治状況が変わっていたらどうしよう。かつての「郵政民営化は是か否か」なんてのが急に出てきたら、それに触れない選挙はがきなんて屁の突っ張りよりも価値が無いし。
 会期末が伸びる程度なら全然オーケーだ。しかし秋まで伸びたらどうしよう。来年なんて冗談じゃないぞ。金が続かない。延びた分の活動費を誰か補填してくれるのか?
 これだけ煽った挙句に選挙が無かったら、まるで官邸も派閥もオオカミ少年ではないか。いや、筋違いなのは俺でも分かっている。しかしそうでも愚痴らなければ、やってられない。
 以上、候補者の腹のウチでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました