何と北茨城市長選で、当日投票よりも期日前投票の票の方が多かった。当日投票7598票に対して、期日前投票9324票である。
制度が導入され期日前投票が20パーセントを超えたあたりから、その投票者を想定して運動のピークを公示日直後に持ってくる方針が各選挙事務所で見受けられた。例えば選挙ハガキはその昔、なるべく投票日直前に届くように最後の木曜日に出していたが、現在は多くの選挙事務所が告示直後に郵便局に持って行く。
そんな傾向は選挙活動方針全体に拡大していくだろう。街宣車も初日は都市部の周辺から、などというスケジュールは姿を消し、ハナっから中央でメイン弁士を集めて一番大きな街頭演説会など行う。お願いオートコールは最終日ではなく初日だ。徐々に盛り上がる陣営はもう遅い。告示日のピークを目指す。いや、もう告示・公示では間に合わない。
そんな焦りは事前活動の違反に繋がりかねないので、十分に注意する必要がある。単純買収から運動員買収へ移った時のように、マスコミの注目は事前活動に移って行くかもしれない。今まで選挙準備行為とみなされていたものが、選挙事前活動とされて一挙に厳しくなっていくだろう。つまり「選挙運動と類似する準備活動」の解釈が縮小されてしまうのだ。マスコミ報道が増えればそこで世論形成が進行して、警察の取り締まりの焦点も合わせて移っていく。
何事も前倒しの風潮になれば、選挙活動特有のラストデー、フィナーレの盛り上がりと感動は無くなってしまうのか?
いや、最後の最後まで一票を追い求める気鋭事務所には、そんな気配を一切見せないだろう。期日前投票の爆増は各陣営に一切の緩みや中弛みを許さない傾向を生む。
選挙戦がさらに厳しい時代に突入してしまった。
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