江東区長選挙で元衆議院議員の木村やよい氏が勝利した。この勝利はある意味、日本の選挙を変えるかもしれない歴史的な勝利だと思う。
相手は都議4期の自公推薦候補で、保守分裂だった。直前に現職区長だった父親を亡くしており、木村氏は『弔い合戦』に対峙して勝った。つまり木村氏は1、対弔い合戦 2、保守分裂で相手方が自公推薦 3、女性区長候補 という三つの有利とはいえない状況の中、勝利したのである。
まあ、今どきは三つ目の女性首長候補というのは不利とは言えず、かえって有利であることも少なくない。事実現在は3人の女性区長がいるし、全国的にも女性首長が増えているとはいえ、やはりまだ少数派であることは間違いない。
相手側にとっての弔い合戦に勝利するのは極めて難しい。しかも息子が出ると表明した直後に亡くなったので、そのイメージも強烈な選挙だった。現職区長の父親が亡くなったニュースを見て、選挙はもう決まったなと私は思ってしまったくらいだ。
判官贔屓という言葉があるが、日本人はとにかく「かわいそう」に見える人を応援する民族だ。しかし今後は、本当の弔い合戦、例えば相手側に死ぬまで虐められていたとか、その死に間接的に関わった、などの『ホンモノ』でなければ、特に都会の選挙では弔い合戦とはならないのかもしれない。
選挙活動の焦点が変わるのが早い時代だ。ちょっと前までは負けていると思われるアナウンス効果が有利だったが、今は勝ち馬に乗るバンドワゴン効果の方が大きいような気がする。10年単位で変化していた選挙の形態や勝利スタンスが、今は3年で変わってしまう。
「時代の変化は早い」なんて古臭いことは言いたくないけど。
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