自治体の投票マッチングに驚いた

 それにしても最近は驚いてばかりだ。杉並区が実施しようとしていたポートマッチッング(投票マッチング)である。
 ポートマッチングとは、有権者が自分の考えと近い候補者を知ることができるシステムで、民間企業がこれをやっていたのを見て私はかつて痛烈に批判した。そこにいささかのバイアスは無いのか、使用にあたって管理者のバイアスが生じる危険性はないのか、投票への誘導ではないのか、つまり公選法違反を私は疑った。仮に違反ではなくても、権利者たる投票者は自分の権利行使にあたって、直接的に自分の頭や体感から投票行動をすべきだと考え反対したものである。
 ところが私の知らない間に世の中はもっと進んでいた。何と杉並区が4月の区議選で導入をしようと準備を進めていたという。本当にぶっ飛んでしまった。幸いにも総務省は事前に「自治体の選挙管理委員会が主体となって実施するは、公選法に抵触する可能性がある」との見解を出して、杉並区はこれを断念した。油断もスキもあったものじゃない。一部のマスコミがこれをやっていて、かなり問題だと考えていたが、まさか自治体がやろうとしていたとは。
 新聞各紙で、内閣支持率に大きな差があるのを確認してみてほしい。選挙の世調もそうだ。候補者の強弱に違いはないが、その数字は新聞ごとに大きく違っている。どんなに平等にと頑張っても、質問内容や解答の順番、場合によっては質問の声のトーンや音量で、微妙なバイアスがかかってしまうからだ。だから我々選挙のプロが行う調査は、いかにバイアスを極小にするかが腕の見せ所なのである。
 さすが総務省選挙課、と讃えたい。

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