カレーうどんは美味しい。これ以外に無いと思っていたのに、近所の蕎麦屋はカレーそばが売りだというではないか。試してみたが非常に旨い。自分でもレトルトカレーで作ってみたが、やはり旨い。賛否はあるだろうがカレーそばはアリだ。店主は「万人受けはしないだろうが、ある程度はいける」と踏んで行動し、それがヒット商品に育っていったのだろう。
選挙は万人に好かれる必要はない。極論だが、一騎打ちの市長選の場合は51%の人に好かれればいいだけだ。そしてその51%に徹底して棄権せずに投票場に行ってもらえるような活動をする。私がよく言う〝組織内投票率〟の向上だ。この場合の組織とは、特定の団体のことではなく『私を好いてくれる属性』の母集団だ。
何%に好かれれば良いのか、計算はさほど難しくない。二人区で5人が出馬するなら、ざっくり40パーセントだ。候補者には強弱があるので、サンプリング調査をして微調整をすればいい。
全員に好かれようとしても、その戦略はすでに破綻している。「前市長の良いところは継承して、間違っているところは正していく」なんて言っている間に選挙は終わってしまうのだ。そもそも市長選にさほど市民は興味がない。たっぷり時間があって譲れないものがある場合は別として、ぬえのように生き抜いて選挙を戦おうとしても、それは所詮無理だ。嫌われることを恐れて、いいとこ取りしようとしても有権者には届かないだろう。そもそも有権者は候補者を信じていない。
分っちゃいるが、候補者の性で、つい全員に好かれようとしてしまう。しかしどんな選挙にも言えるが、嫌われる勇気を持たなければ、魅力的な候補者にはなれない。とんがったところも無ければ、信念の感じられない候補者になってしまう。
私が後輩にカレーそばの旨さを力説したら、彼は気の毒そうにそっと言った。「カレーそばなんて、だいぶ前から結構どこでもありますよ」
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