参議院比例の矛盾

 多くの選挙専門家は「比例は政党を書く人が増えて、個人名を書く人は大幅に減る。各団体も大量票を獲得できないだろう」と言っていた。もちろん私もそう思っていた。ほとんどの団体がコロナ禍で満足な活動ができていなかったからだ。参議院比例は市議選のように、細やかで地道な活動が必要というのが私の持論だ。その分、もともと地上戦で勝負しないタレント候補が有利になるだろうと考えていた。
 大方その通りになったが、想像できなかった点もあった。自民党について言えば、最下位当選票が思ってたよりもずっと高かった。7万台だった過去最低ラインより下回るかとも思ったが、全く違っていた。理由は維新の比例での躍進である。
 それにしても維新候補の3万数千票で当選って、いくら何でもちょっとひど過ぎないか?選挙制度なので文句は付けづらいが、一応全国が選挙区の選挙なのだから。そいいえば衆議院選挙でも、宮城県で維新候補は2万数千票で議席を得ていた。かつては国民新党の長谷川憲正氏は40万票以上を得票しながら落選したこともあった。
 自民党は2人の候補者を特定枠として優遇した。合区によって議席を得られない県の候補者に無条件で議席を与えた。この特定枠の候補者は、選挙事務所を持つことはできず、殆どの選挙活動は認められていない。しかしながら特定枠の候補者の名前が投票された場合、無効票ではなく政党票としてカウントされる。何だかよく分からない制度だ。いかにも合区ができた故の、取ってつけたような措置に思えてしまう。他の自民候補者は何となく釈然としなかったのではないだろうか。
 参議院比例選挙は分かりにくく、選挙制度そのものがもう民意に合わないものになってしまっている。いっそのこと昔の「全国区選挙」に戻してしまってはどうか。その方がよほどすっきりする。「かつての全国区選挙は金がかかり過ぎるから」という理由で変則的比例代表制度になったが、今となっては理由にもなっていない。今の制度だって十二分に金がかかる。
 「票を多く取った者が議席を得る」これこそ選挙の醍醐味だ。

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