経歴詐称ばかりではない

 今どき珍しい選挙違反だ。「虚偽事項公表罪」4年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金、重罪だ。適用されれば公民権停止は間違いなく、失職は確実だ。
 目黒の元都議が書類送検された。「自民党目黒唯一の候補者」との記載が虚偽に当たるとしたものだ。もう一人自民党公認候補がいたが、目黒総支部の申請がなく都連が直接公認したという。だから自分だけが「自民党目黒唯一の候補者」と解釈したらしい。
 虚偽事項公表罪は経歴詐称問題と混同されることが多々あるが、それとは明確に違う。選挙違反なので印刷に関しては本番物、すなわち選挙ポスター、法定ビラ、公選ハガキや選挙広告などに限られる、事前のリーフレットや後援会ニュースなどで、如何に嘘八百を並べ立ててもこの罪には当たらない。(道義的問題はもちろんあるけれども)そして今回のケースのように、経歴ばかりではなく、政治的事項に関しても適用される。公認もとっていないのに〇〇党公認、と選挙ポスターなどで謳うのは虚偽事項公表罪となる。
 今回のケースは「自民党目黒総支部が申請した唯一の自民党公認候補者」とすれば、おそらく問題はなかったはずだ。まあ、有権者的にはどっちでもいい話なのかもしれないが。
 本番ブツは一言一言、慎重に吟味する必要がある。よくあるのは例えば選挙公報などに、自分の卒業年次を間違えて記載してしまったりする。私のクライアントは商学部だったのに、経済学部と勘違いしていた。大学から関連書類を取り寄せて、それが判明した。自分の学部を正々堂々と間違えていたのだから、大物なのかアホなのか。
 この元都議は落選し、もう一人の自民党公認候補も落選した。とんだテンヤワンヤである。
 

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