罪刑法定主義無き公選法

 維新の衆議院議員が公選法違反で起訴された。この議員は弁護士だという。法定ハガキを事前に配布した際に、合わせた文書が事前運動とされた。そもそも法定ハガキは事前に配布しておかないと、公示直後にハガキを出せない。当たり前だ。宛名書きやラベル貼りの作業には相応の時間がかかるからだ。
 問題の本質は法定ハガキを事前に配布したからではない。同封したその他の文書に、事前運動と認定できる文言が入っていることだ。しかしマスコミ報道で、そんなご丁寧な説明をしている媒体は皆無である。朝日新聞を例にとると「〜と記載したはがきや、例 〇〇(具体的候補者名)をお願いします、と書いた封書に35ヶ所に配った」ことが違反になったとしている。これでは法定ハガキを事前配布した事がいけないのだと勘違いする人が大多数だろう。
 単なる記事表現だが、これは大変罪深い。全国各地で現在一所懸命活動に励んでいる候補者や運動員の活動妨害に他ならない。「新聞に違反って書いてたよ」と断られて、困っている陣営が多くあるだろう。
 マスコミは、一般の人々に「これは良いけど、これはダメ。今までは大ぴらになされていたけど、法律解釈と適用がこの事件でこう変わったよ」と明示する義務がある。それ無くして、上っ面だけ報じても無意味であるばかりが害悪にしかならない。
 総務省はもっとひどい。新しい解釈や法適用が出てきても、一切知らぬ存ぜぬのスタンスを崩さない。地方の選管にこういう活動はマルかバツか問い合わせても「自分達で判断して活動して下さい」と逃げるだけなのが殆どだ。まあ、立場として慎重にならざるを得ないのは分かるけど、一般ピープル運動員は戸惑うばかりだ。
 公選法に罪刑法定主義は存在しない。身近に専門家がいない陣営は、今後ますます違反の危機にさらされていくだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました