ずっとお花畑で暮らしたい

 私が学生だった頃、非武装中立という言葉が流行っていた。関連の本も随分と売れていたようだ。教授は授業の中で言った。「中立ならば武装しなければ成立しない。スイスがいい例だ。非武装の場合は、強力な同盟国が必要だがそれだって難しい」私を含めた多くの学生は、あの教授は危険思想だと陰で非難していた。平和だった。戦争なんて誰も想像できなかった。
 世界の国家リーダーは誰もが崇高な人たちで、ろくでなしは第三世界の話だとばかり思っていた。世界の基本前提は性善説で、外交的な話し合いで何でも解決が着くと思っていた。ホットな国際紛争は小国だけの話で、大国は冷戦。中国は貧乏でほとんど発言権はなかった。北朝鮮は世界の楽園と誤解されていた。
 でも世界はガラッと変わってしまった。変わってないのは日本だけである。食料は永久的に保障されており、買えば何とかなると思っている。治安はいつまでも良いと思っている。水は永遠にタダだと思っている。自国は一流国だと信じている。そう考えていないのはリストラされた中高年と超氷河期ストライクど真ん中世代の人たちだけだ。
 お花畑で生活しているのは、今や日本人だけだと考えるべきだろう。性善説を貫くならば、警察も武装なんか必要ない。お話し合いで犯人と対峙すれば良いだけだ。いつどんな凶悪犯人に対しても。
 いつからこんな世界観が必要になってしまったのだろう。でも争いは必然なのかもしれない。地球の資源は限られているのに、中国をはじめとして世界各国が豊かな生活を求めるようになってしまった。もう原始人には戻れない。本来は地球規模の知恵が必要だ。
 お花畑に侵略者がやって来て大切な家族や恋人が蹂躙されないように、同時に太平洋戦争に突入した盲目的軍国主義に陥らないように、全ての国政〜地方政治家たちに真眼を求めたい。

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