自民党の派閥とは、結束の固いものだった。三角大福中の時代から、派閥は一致団結して自派から総裁を作るために、それがダメなら次につながるような動きをした。「一致団結箱弁当」は派閥を象徴するワードだった。
今は全く違う。てんでバラバラ、ほとんど自由投票みたいなものだ。安倍元総理が高市氏を応援すると言っても、派閥はその通りにはならない。支持は何と三つに分かれるかもしれないらしい。昔ならばこれを「草刈り場」などと言って、派閥ボスはそれを避けるため必死になって自派閥を引き締めた。現在はそんな様子もない。それぞれが自分の選挙の有利になるような総裁候補を推すという。
昔の派閥ボスはよく金をくれた。海外視察に行く場合は派閥ボスはもちろん、先輩議員や他派閥のセンセーの所に挨拶に行った。餞別をくれるからである。要は集金活動だ。こうして海外視察に行く前に、三百万とか五百万円とか集めたのだ。ポストの獲得にも力を発揮してくれた。
今はそんな事はほとんど無い。盆暮だって満足には金はもらえない。下手したらそれどころか、自派閥のパーティーが開催される際にはノルマまで課せられる。ポストだって回ってこない。何のための派閥か。
私は新人のクライアントには「焦って派閥を決めるな」といつも言っている。仲の良い先輩たちと相談して、じっくりとボスを見極めればいい。どうせたいした金はもらえないのだ。
「派閥ボスの指示を聞かない」どころか、そもそも指示そのものがあやふやで無きに等しい。今回の総裁選はとても楽しいだろう。
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