朝日新聞の世論調査によると、次回衆議院選挙での投票基準で重視する事柄は「政治と金の問題」が53%となっている。「景気・雇用54%」「福祉53%」とほぼ同水準である。これにはかなりビックリだ。
以前私は自分が実施している調査で、全国各地の市長選挙についてここで書いた。市長選では「景気・雇用」と「福祉」が突出している。私は違いを明確にするため、マルチアンサーではなくシングルアンサーで回答をいつも求める。マルチアンサーで聞くと、この二つは、ほぼ全員が両方回答に入れるからだ。
調査方法が違うとはいえ、市長選と国政の違いがよく分かる。市長選に政治と金の問題は、回答が少ない。いや、選択肢にも私はほとんどの調査で入れない。しかしあまり重視されないからではない。地方政治には金の問題が少ないのだ。もちろん無いわけではないが、自分の住んでいる地域を思い出してみて欲しい。過去数年間で、それが噴出したことがあったか?相対的にはやはり、身近な問題とは感じられないのだろう。
しかし一度この問題が地方議会で飛び出すと、マスコミをはじめとしててんやわんやの大騒ぎとなる。時には自殺者も出してしまう。過去三十年以上の選挙人生を振り返っても、私が独立する前の会社が携わっていた選挙関係者が3名死んでいる。後援会幹事長、首長自身、それと首長の奥さんだ。
首長や地方議員の事件は、時には国政なんかと比べ物にならないくらい陰惨な現象、悲惨な結果を生んでしまう。地元話だけに噂は国政の十倍くらいの勢いで拡散を続ける。百条委員会なんか設置されたら、もう死を意識する地方政治家も少なくないらしい。
それだけに取り扱いには十分注意してほしいところだが、地方政治家自身も日頃の政治資金の取り扱いには細心の注意を払うべきだ。今どき巨額資金を貯め込む地方政治家なんて、ほぼ皆無だ。建設利権なんて、もう無いだろう。どうせたいした金額ではないのだ。セコい考えなど一切捨てた方が良い。立候補した時から、自分には金に縁がないものだと考えを改めて見てはどうか。
さらに政治資金の扱いについては、うっかりミスが多い。もっと言えば、何の意識も配慮もしていない地方政治家が、私の肌感覚では五割くらいいる。もう天然ナントカというしかない。
ちょっとしたミスが命取りになる時代なのだから。
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