出たがり裏方の行方

 またまた兵庫県斉藤知事の周辺が喧しい。SNSなどの広報を担当したPR会社の社長が、事細かく選挙中の自分のお仕事を自慢して〝広報PR〟している。
 マスコミ報道などでは、斉藤事務所からこのPR 会社への支払いが収支報告で明確になれば買収罪が適用されるとしているが、これは間違いである。そもそも選挙収支報告の提出はこれからなのに、そこに支払いを記載するバカがどこの世界にいるか。
 支払いはおろか、支払いの約束だけで買収が成立して有罪となる。私の知り合いは自分の従姉妹への「バイトしない?」というメールが発端となり、結局バイトはしなかったにも関わらず、逮捕されて三週間ブタ箱にご入居した。
 見積もりなんか出てくるとほぼアウト、県警が本気でやるならば関係者を相当数呼び出して、各々から何十時間もかけて供述を取るだろう。密室で刑事から「〇〇らの証言と違う。お前だけ嘘をついていると、お前の罪は重くなるぞ」と脅されれば、スーツを着たホワイトカラーで耐えられる者はそういない。簡単に口を割るだろう。
 それにしても黒子がこれほどでしゃばるのはかなり珍しい。我々の業界人はモノを言わないのが一種の美徳で、例えば私などは過去に誰をやったのか、具体名は殆ど知られていない。関係者の口から漏れて、周辺が知る程度だ。電通や博報堂などの大広告会社が選挙に絡むことも少なくないが、彼らの口も固い。私は何度か一緒に仕事をしたことがあるが、大会社がこの候補者のPRをやったなどほんの一部の人間しか知られない。
 今回の兵庫県のPR会社の社長は、選挙なんか初めてだったのじゃないだろうか。選挙はただのPRではない。公職選挙法という大きな壁が立ちはだかる。モノを知らないと候補者自身の政治生命に大きく関わってくる。
 兵庫県のこれからを注視したい。

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