昨日の朝日新聞の見出しだが「生活費大差ないのに〜都市と地方 最低賃金には開き」とある。最低賃金の全国一律を求めようとする主張だが、これは誰が考えても切り口が間違っている。
生活費に大差がないと考えるのは、おそらく朝日新聞だけだろう。確かに歯ブラシや洗剤、車や電気機器の値段に差は無いけれども、生活費には大きな差がある。魚、野菜などの生鮮食品には大きな違いがある。
私は地方出張が多く漁町で四ヶ月ほど暮らしたこともあるが、刺身が驚くほど安くてビックリした。都会の半分以下、さらに七時過ぎにそれが半値になる。意地汚い私は日頃食べられない刺身を毎日大量に買い込み、それで毎日を過ごした。体重は十キロ近く減り喜んでいたが、東京に戻って刺身が買えずコロッケだとかメンチカツだとか食べていたら、あっという間に元に戻ってしまった。他の食料品だって圧倒的に地方が安く、貰える物も少なくない。
食料以上に圧倒的に違うのは家賃〜住宅費だ。その港町で2DKを借りていたが家賃は四万円だった。東京だと多くは二十数万円で、区によっては三十万円でも借りられない。ワンルームだって十万円近くするだろう。「家賃のために働いているのか」と暗澹たる気持ちで暮らしている人は結構多い。
東京の方が給料がいいならみんな東京へ行くだろうというセリフが記事中にもあるが、これは単純過ぎて歪んでいる。最低賃金の違いは大きくても二百円程度、これなら地方を選ぶ人が多いと思う。地方の賃金が東京と同じになると、地方の中小企業は成り立たなくなり、地方産業は地盤沈下していくだろう。体力のある企業なんてそうそう無い。どこもギリギリの生存努力をしているのだから。
「生活費に大差無い」は大ウソだ。そうではなくて課題としては「誰もが安心して生活できる賃金体系と雇用形態を」だろう。それが前提で、最低賃金をどう考えるのかが問われると思う。
シングルマザー、通常のサラリーマン家庭の第三子、第四子のいる家庭、病気で働けない人のいる家庭、被災地で職を失った家庭等、どんな家庭であっても少しでも安心に近づいて頂きたい。
地方のリーダーは間違っても新聞の見出しを鵜呑みにして主張を作らないようにしよう。
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