自治体の生き残りをかけて

日本のGDPがドイツに抜かれ、世界四位になる。国民一人当たりでは21位だ。2026年にはインドに抜かれ、五位に転落する。四十年も経済成長をしていないのだから当然とはいえ衝撃的だ。その昔、邦画に出てきたアジア人が叫んだ強烈なセリフを覚えている。日本に来て苦労するアジア人(カンボジアだったか)「カンボジアお金無いだけ、日本お金あるだけ」お金を作れず、さらに〝激安になったニッポン〟は今後どうなるのだろう。
 今後の展開をさらに暗くするのは人口減だ。人口増など向こう百年はもう無理だ。八千万人に留めるのか六千万台まで行ってしまうかの勝負になる。地方政治家は小手先、まやかしの「人口増対策」など謳わない方が良い。若い女性がいないのだから産めよ増やせよは無理であり、そんな時代でもない。人口増は他所から引っ張ってくるしかなく、それとてかなり難しい作業だ。
 爽やかにキッパリと、縮小都市でも生き残る「幸住都市」を目指してはどうか。確実な収益を見込める突出地域産業の明確化、人材の育成と補充体制、徹底した万全の災害対策、高齢者対策〜健康寿命の促進と高齢者の人材活用、教育の差別化などだ。
 また今後は産業と共にインフラ維持が困難になってくる。こちらの対策もしっかりと考えておきたい。将来的にはコンパクトシティ化が進む可能性が高いが、それに備える街づくりが重要になってくるだろう。
 特に危険なのは水道事業とごみ収拾事業だ。インフラに関しては近隣自治体との連携や事業の民営化、地元の産業化や部分的な廃止等が考えられるが、水とゴミは廃止というわけにはいかない。
 水道民営化の話が進むある町長と話をしたことがある。交渉する相手企業は、海外資本も入っていた。「今の社長がいる時までは良いだろうが、もし経営基盤が変わったらどうなるのだろうか。料金は二倍になると言われても対抗できない」と町長は苦渋に悩んでいた。インフラを外国に握られては、もう国家とは言えなくなるのかもしれない。
 これからの小さな都市の自治体トップは、間違いなく生き残りが命題だ。現状維持が難しい時代だからこそ、トップリーダーがそれを左右することだけは間違いない。

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