プロジェクトウィズー渡辺強の経歴 | PROJECT WITH 《プロジェクトウィズ》 渡辺 強
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著 書

日本初、マンガで選挙戦略を解説。実務的ノウハウを全て集約している。
政策を訴えろ (1.12.11)

 さあ選挙だ、今回は誰に投票しようかな、と迷う。
 告示になって、街場に掲げられたポスター掲示板を見る。おぉ、なかなか美人ではないか、この女性候補者に投票しようかなと思った翌日、その候補者の街宣車をたまたま見かけ、やはりこの人に入れようと固く心に誓う。

 さて国政選挙、知事選、市長選、県会市会を問わず、ここ数回の選挙を振り返ってみて欲しい。自分の投票した候補者の「政策」を一つで良いから明確に答える事ができるだろうか。
 特に地方議員選挙の場合、この問いに答えられる人は政党要件となる得票パーセンテージより低いと思う。

 これは「独自の政策をパワフルに訴える」候補者が少ない事を意味している。例えば県議会議員候補や市議会候補で強烈な主張をしている人がいるだろうか。政策がまっとうなものであるならば、今はそれだけで当選できるだろう。数ヶ月をかけて、選挙区内に浸透させれば良いだけだ。さほど難しい作業ではない。

 例えば「公教育の低下」が多くの人が言う。じゃその先は何か。具体策は?
「俺は○○○で公教育を必ず四年間で向上させる。命がけで必ず実現する。△△という理由から、それがこの地域全体の幸福につながると信じているからだ。俺は○○○以外の仕事は一切しない。」とまで言い切れば、当選確率はさらに高まるだろう。
 地方議員候補ばかりではなく、国政候補も独自の政策を強く訴える候補は激減した。中選挙区時代と違って、政党選挙になっているからだ。訴えの主流は相手候補の揚げ足取りと、政党政策集に載っているようなつまらない主張だ。

 よく私は素っ頓狂な政策を作って、クライアントと現実路線を話し合う。面白いものも多いが、日の目を見ないものも多い。
 候補者たちよ、まっとうなすごい政策を訴えろ、政策で世の中を変えろ、と言いたい。



選挙活動と受験 (1.12.1)

 最近、"マスクド先生"という塾の先生の発信するYouTubeにはまっている。
マスクド先生はユーモアたっぷりに、勉強をしない中高生や親たちを叱咤激励する。これが何とも、選挙と似ていて面白いのだ。

 選挙期間の活動だけで当選できる候補者は、まずいない。事前の政治活動で政策を広く知らしめ、知名度を上げていくことが必要なのだが、まあホントに、政治活動をさぼる、もしくは真面目にやらない候補者が実に多い。
 自分の政治生命がかかっているのに、一体どういうことなのか。選挙間際になって大慌てをして一所懸命に活動を始めたりする。

 受験と違うところは、事前の政治活動が不真面目であっても、その時の政治状況や社会状況に乗って、当選してしまう候補者が結構いる事だ。小泉政権時の「郵政解散」の自民候補、「政権交代」の時の民主党候補が代表的だ。最近の安部政権選挙もこれに近い。
 国政選挙ばかりではなく、首長選挙、地方議員選挙にも結構これが見られるから、何とも困ったものだ。
 そんな候補者たちは選挙直前の"一発芸"にかけるのだ。

 私はコンサルタントとして、選挙戦略や広報活動、候補者トレーニング、スタッフトレーニングなどを実施するのだが、頼ってくるのは駆け込み新人候補者が少なくない。そんな時はお仕事であるので"一発芸作り"を粛々と行う。それが少なくない確率で当たってしまう。
 だが当選した一発芸候補者が、次回も有権者に受け入れられるとは限らない。その後地回り活動をきちんとやり、しっかりと支持者を固め後援会組織を築いた人が確実に生き残っていく。そうして社会状況や政治状況に関わらず、強くたくましい政治家になっていくのであるが、残念ながらそれは少数派だ。

 マスクド先生は今日もYouTubeで吠えまくる。やっぱり受験とはちょっと違うかなあと、しみじみ考えてしまう。



14ヶ条をチェックしてから立候補せよ (21.6.1)

新人さんが「〜選挙に立候補したいのだが…」と訪ねてくることがある。
私は次の14項目を必ず質問し、チェックする。三つ以上がノーならアウト。「出ない方がいいよ」とアドバイスする。
三バンなど必要ない。一昔前とは全く選挙事情、風景は変わってしまった。知恵と勇気があれば、知名度がなくても当選は可能だ。資金が潤沢でなくとも、社会情勢が味方すれば当選できる。しかし次の14ヶ条は現代選挙では絶対的なものと私は考える。

1)キャリアにおけるアピール点はあるか
2)最低限度の資金はあるか 
3)投票日まで休日が一日もなくて良いか
4)参謀はいるか
5)選挙区内に動ける人はある程度いるか
6)仕事は捨てきれるか
7)選挙まで常に選挙区でずっと活動できるか
8)家族を説得しきっているか
9)情熱の原動力を説明できるか
10)活動期間は十分か
11)落選した場合のシュミレーションができるか
12)健康か、体力はあるか
13)予想スキャンダルは致命傷となるものか
14)獲得すべき票数に対して候補者としての存在意義は濃いか

分かりにくい部分があるので説明しよう。
1)のキャリアにおけるアピール点とは、りっぱな仕事だったとか、社会的功績を残したとかではない。「自分の生き様はこうだった。そしてこの選挙なのだ」と人に説明できるかどうかだ。ゆえに社会的弱者であろうが、負け組みだろうが全く関係ない。
2)は最低限のお金だ。いくら「お金がなくても…」と言っても、人に全ておんぶにだっこでは人は付いてこない。
3)そういう気構えがあるかどうか、である。
4)我々のような選挙に詳しい人間がいるかどうか、ではない。一心同体となって、共に泣き共に笑って進んでくれる人がいるかどうかだ。選挙技術は、さしあたって必要ない。
8)家族を説得できないような人間は、支持者〜有権者を説得できるわけが ない。立候補する資格がない。
11)落ちた場合、次回出るか出ないか。無鉄砲なだけではちょっと…。
13)リスクマネージメントは可能か。
14)私がよく言う「候補者としての存在価値」。選挙区事情から鑑みる。

どうか自分を、あるいは立候補しようとしている知人を、あてはめてみて下さい。


トレンドは "極端" 選挙の土俵は自分で作れ                (20.2.1)

 ここ数年の選挙トレンドを一言で言えば「有権者が短期に極端に突っ走る」傾向にある事だと私は考える。17年の衆議院選挙、19年の参議院選挙が代表例だが、私が手がけたいくつかの地方選挙でもそんな傾向が見られた。
 保守回帰だとか、山が動いたマドンナブームだとか、新党ブームだとか、選挙での雪崩現象はいつの時代も多かれ少なかれ存在してきた。これらは主にスター(もしくはそれに変わるもの)の出現が勝因となったり、相手方の不祥事等でマスコミが中心となって世論形成を行ったり、ムーブメントとなって投票行動に現れたものだった。19年参議院選挙も自民党が一人で勝手に転んだのが結果の原因だった。
 しかし私が面白いなと注目する現象はそれらとはやや違って、陣営サイドが世間にテーマを投げかけ、そこから世論形成の核が拡がり争点となって選挙戦に突入していったものである。代表例は小泉政権下で行われた「郵政改革選挙」である。
 地方の選挙でも、17年衆議院選挙より前から、目立たないがこの種の選挙で新人が大長老を敗る選挙が各地で行われていた。ポイントは「テーマはただ一点」あれもこれもテーマに掲げないということだ。
 私もこの"陣営提出テーマ一点主義型選挙"で当選した新人の選挙に携わった。
 西日本の10万人都市、地方都市にありがちな「何にもなくて古い街」である。助役から市長になった連続5期目を目指す実力市長、そして半世紀近くも県議をやっていて衆議院議員や知事など屁とも思わない"天皇"が二人で市政を牛耳ってきた。
 私が応援したのは若き新人、しかも長年そこに居住していなかった。彼の名前は誰も知らない。知名度ゼロだ。残された期間は半年ちょっと。
 私はまず候補者と二人で「市民の不満がどこに詰まっているのか」これを徹底的に調査した。様々な問題点や課題が噴出してきたが、出てきたキーワードは一つに集約された。「財政改革」。
 何故今財政改革が必要なのか、財政をこのままにしていたら今後どのような事が起こるのか。徹底してこれのみをどう訴えるか腐心した。
 鼻も引っかけてもらえず相手方からは完全にバカにされ、告示少し前になってからようやく敵はまともに動き始めた。油断するにも程がある。事前調査は1対9で大敗北、結果は一気呵成のダブルスコア勝利だった。
 あれやこれや弱点を抱えたまま突っ走り、細かい事を言えば疑問点も少なくなかった選挙戦だった。相手方の油断につけ込めた部分もあっただろうが、選挙のテーマを絞ったこと(選挙の土俵をこちらサイドで作ることができた事)、そしてスタッフ全員の溢れる情熱の二つが勝因だろう。
 しかしよく考えてみると、これが本来の選挙の姿ではないだろうか。逆に言えば、双方サイドから提出された土俵を両者が戦い抜く選挙がいかに少なくなったことか。
 選挙の土俵はマスコミが作るものではない。自分が作って戦うものである。
 


 記 事